健康に取り組む温泉地 | 日本温泉協会

健康に取り組む温泉地

健康に取り組む温泉地

2015年12月11日 公開

前回は「温泉と健康」についての関係についてまとめてみました。今回は温泉を利用して健康に取り組んでいる温泉地について、いくつかの事例を紹介します。

地域として健康に取り組む温泉地

身心の健康維持・健康増進に関しては、医師の指導を受けることが望ましいことは言うまでもありません。これは、食事や運動の面に限らず温泉についても同様です。特に温泉については、温泉の知識を持った医師である温泉療法医の指導を受けることをお勧めします。現在、温泉療法医は全国で700名ほど認定されています。温泉を健康に役立てるために、温泉療法医の指導をもとに地域として実践している温泉地があります。その内の幾つかを紹介しましょう。
温泉療法医については、温泉療法医についてで取り上げましたので、詳細はそちらを参照してください。

鹿教湯温泉(長野県・丸子町)

長野県の鹿教湯温泉は、古くから脳卒中などに効果があると言われ、湯治場として発展してきた温泉地です。

鹿教湯では、いち早く病院を誘致して昭和31年に丸子温泉郷として国民保養温泉地の指定を受けました。この病院と連携をはかり、病院で検査と問診を受けて医師の指導をもとに、旅館に5日間ほど滞在しながら温泉入浴や体操などを実施するという「集団保養」のシステムを確立しました。地域として温泉を利用した健康づくりに古くから取り組んできた先駆的な温泉地です。

その後、丸子町温泉センター(クアハウスかけゆ)を設置し、温泉プールでの運動浴や各種の入浴方法を取り入れて、現在に至っています。文殊堂で開催される健康体操が、火曜日を除く毎朝9時からインストラクターの指導で開催され、多くの人々が参加しています。

また、2000年2月には共同浴場が建て替えられ、鹿教湯健康センターとしてオープンしました。「あつい湯」と「ぬるい湯」の温度差のある浴槽が設置され、ヘルスコーナーには全自動の血圧計やサイクルエクササイザーなどが設置され、健康増進にむけての設備がより充実しました。

健康に取り組む温泉地01
鹿教湯温泉で毎朝開催されている「健康体操」

肘折温泉(山形県・大蔵村)

山形県の肘折温泉は、1200年もの歴史を有する温泉地です。出羽三山の主峰月山の登山口に位置し、古くから傷の治る温泉として知られてきました。

肘折温泉は、隣接する黄金温泉・石抱温泉とともに肘折温泉郷として平成元年に国民保養温泉地の指定を受けました。その後、平成3年に国民保健温泉地の指定を受けたのを契機に、県のモデル事業として温泉療法医の協力を得て「温泉療養相談」を導入し、個別に効果的な温泉の入浴方法などの指導を実施してきました。

平成6年には黄金温泉に「カルデラ温泉館」を設置し、低温の炭酸泉を利用した部分浴や飲泉ができるようになりました。その後、平成10年には「肘折いで湯館」が完成し、温泉療養相談を中心とした健康増進のための中核施設として活用されています。

現在温泉療養相談は、毎週土曜日に2名の温泉療法医が担当しています。対象者は肘折温泉郷の宿泊者で、受付の際に相談者カードに記入して、相談者個々の症状や疾患の血圧なども測定。大きな成果を上げています。

健康に取り組む温泉地02
肘折温泉の「温泉療養相談」

長湯温泉(大分県・直入町)

大分県の長湯温泉は、徳川時代にはすでに湯治場として栄えていた歴史の永い温泉地です。岡藩主が好んで湯治に訪れた温泉地で、安永年間には御前湯も建てられました。藩主だけでなく、藩士や多くの農民も長湯を訪れ、古くから大いに賑わっていたと伝えられています。

長湯温泉は、わが国では珍しい炭酸の含有量が多い高温の泉質に大きな特徴があります。昭和初期には、ヨーロッパの温泉療養を学んだ九州帝大の松尾教授らの手によって、ドイツの温泉文化を導入し、温泉治療学研究所が設置され、ドイツ建築の温泉浴場「御幸湯」も造られました。その後、昭和40年には国民保養温泉地に指定されました。近年は「日本一の炭酸泉」をキーワードに、特長ある泉質を全面に出したPRが行われ、温泉を通じてドイツとの国際交流も積極的に実施されています。

現在は、町営の外湯と飲泉所がそれぞれ4カ所点在し、それらを巡りながら散策ができるような環境整備がなされています。長湯温泉には、糖尿病や腰痛・膝痛などの人々も多く訪れ、顧問医の温泉療法医の指導を受けて飲泉や入浴を実施できるようになっています。

各外湯には、高温と低温二種類の炭酸泉の浴槽が設置され、温度差浴ができるようになっています。また、平成10年10月には、直入町温泉療養文化館「御前湯」がオープンし、温泉を利用した健康づくりの中心的施設となっています。

健康に取り組む温泉地03
長湯温泉の温泉療養文化館「御前湯」

なお、大分県の別府温泉郷では、同市の医師会と旅館組合が協力して、温泉を予防医学的に利用するためのシステム作りに着手したということです。我が国を代表する温泉地において、温泉を健康に役立てることについて本格的な検討がはじめられたわけですが、是非とも豊富な温泉を活かしたシステムの確立を期待しています。

また、静岡県では、伊豆地区の病院や宿泊施設と連携して健康保養プログラムの開発を平成12年度の県予算で実施することが新聞発表されました。観光温泉地が多い伊豆地区において、県が温泉保養について予算をとることは高く評価できると思います。

このように、地域として温泉を健康に役立てようとする動きが全国的に広がりつつあるのです。

次回は健康増進に取り組んでいる施設について取り上げたいと思います。

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