温泉の歴史(現代)※第二次世界大戦後
2015年12月11日 公開
前回は近代の温泉について解説いたしました。
この時代は、温泉の新規開発が進められ、鉄道網の整備に合わせて多くの温泉地が発展してきたことがお分かり戴けと思います。
今回は「温泉の歴史-5-」として、現代の温泉について簡単に取り上げてみましょう。
昭和20年(1945年)、第二次世界大戦が終わると、日本は戦後の復興の時代に入ります。戦後の食糧難のこの時期は、米を持参して温泉地に湯治に行く人が多かったようです。
その後、高度経済成長の時代に入ります。ここで、温泉地は大きく発展していくのです。
景気が良くなり、温泉地に多くの人が訪れるようになり、宿泊施設は大型化していきます。これを契機に、多くの温泉地では、宿の鉄筋コンクリート造りが増えて、いわゆる温泉街のビル化がはじまります。また、外来資本が新規参入し、新しい宿泊施設も多く造られはじめました。こうして多くの温泉地は湯治場から観光温泉地へと変貌を遂げたのです。
道路交通網の整備が進められ、高速道路等の整備も進んできたのと同時に、鉄道も高速化が図られるようになり、都市部から温泉地までの交通の利便性は格段にアップし、時間も大幅に短縮されはじめました。
鉄道に加え大型観光バスも利用されるようになります。多くの温泉地では、観光バスで団体客がたくさん訪れるようになりました。歓楽の場となった温泉地も少なくありません。この時期の客層は、男性が主流でありました。
その後、昭和60年頃、いわゆる「温泉ブーム」が到来します。このブームの主役は女性となりました。旅行の形態は団体旅行から少人数に変化して、今まで温泉地をあまり訪れなかった若いOL層や女子大生達が、グループで温泉地を訪れるようになりました。露天風呂が人気を集め、また、バブル景気とあいまって、多くの消費者は「和風・高級」の宿を求めました。多くの施設は多額の設備投資をした時代となりました。
また、竹下内閣の実施した「ふるさと創生」資金で、地方自治体の温泉開発が各地で実施され、今まで温泉の無かった地域に温泉施設が設置されはじめてきました。今では、立ち寄り湯と称されるような、日帰りの温泉施設が全国各地にあります。
バブル経済が崩壊して、宿泊客数は若干が減少していますが、全国的に見ると温泉地には多くの人々が訪れています。最近は、消費者が何においても本物志向となってきていて、温泉についても本物が求められているようです。
また、バブル期のブームであった露天風呂は殆どの施設で整備されたため、最近は、貸切風呂や足湯がブームとなっているようです。
このようなことから、戦後の高度経済成長を契機に、多くの温泉地が湯治場から観光温泉地へと変貌を遂げ、バブル経済と温泉ブームがリンクして女性客が増加し、今なお温泉は多くの人々に支持されていることがお分かり戴けたと思います。