環境省「温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」検討会を設置
2014年10月15日 公開 環境省は有識者による「温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」の検討会を設置し、温泉資源の保護を図りながら地熱発電の導入を促進するうえでの課題の整理、および解決策の検討をはじめた。
検討会の委員は、学識経験者、行政、温泉関係者、地熱関係者らで構成され、温泉関係者の立場からは本会の佐藤好億常務副会長(地熱対策特別委員長)が参画している。委員長は筑波大学名誉教授の田中正氏。
温泉をゆう出させる目的で土地を掘削する場合、温泉法第3条で都道府県知事に申請し許可を受けることが必要とされている。これまで、温泉をゆう出させる目的以外の掘削でも、温泉のゆう出が客観的に予想される場所や状況における場合、法第3条の許可を要するものと解釈され行政指導がなされてきた。
平成24年3月に環境省が策定した「温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」においても、「地熱発電に利用するための熱水・蒸気の生産井の掘削はもちろん、地熱開発のための探査時に地下の熱水貯留状況を確認し、資源量を検討するための試験井の掘削であっても、温泉のゆう出が見込まれる場合には温泉法に基づく掘削許可申請が必要となる。」と記載されている。
これに対し、内閣総理大臣の諮問機関である規制改革会議が平成25年6月5日の答申で、「こうした行政指導は、目的を偽って掘削が行われるのを防ぐ等温泉資源の保護を目的に行われてきたものと認識しているところ、不正な掘削等は温泉法に基づく罰則規定及び命令等により厳正に対処すべきであり、法律を拡大解釈して、法律上は許可が不要である掘削に対して許可申請を求めるのは適切な対応とはいえない」とされた。
この答申を踏まえ、「規制改革実施計画」(平成25年6月14日閣議決定)では、「温泉法第3条が温泉をゆう出させる目的で土地を掘削しようとする者は許可が必要としていることを踏まえ、許可が不要な掘削について類型化する」こととし、「平成26年度結論、結論を得次第措置」とした。
今回、検討会を設置し、温泉法第3条の運用について改めて整理することが必要となった背景には、この閣議決定がある。
第1回検討会が7月30日(水)経済産業省別館会議室で、第2回検討会は9月25日(木)環境省会議室にて開催された。
第2回検討会において、温泉法第3条に基づく掘削許可が不要な掘削の類型化について、地熱発電関係の掘削行為と、その他の代表的な掘削行為がそれぞれ例示され承認された。
地熱発電関係の掘削許可が不要な掘削行為は、「地質・地熱構造調査のための掘削」(温泉のゆう出を目的としない構造試錐井)、「地熱発電に供した温水を地中に戻すための井戸の掘削」(温泉のゆう出を目的としない還元井)、「水位等をモニタリングするための井戸の掘削」(温泉のゆう出を目的としない観測井)等。
また、その他の掘削許可が不要な掘削行為は、「地下水採取を目的とした井戸の掘削」、「ダム又はトンネル等の掘削」、「ビル建設等に関する掘削」、「鉱物又は土石類等採取の掘削」、「地震観測のための井戸掘削」等とした。
検討会は、平成26年度内に計5回開催される予定で、技術的課題とその解決策、社会的課題とその解決策、経済的課題とその解決策、法的課題について、それぞれ検討がなされ、最終的に「温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」の改訂の基礎(案)がまとめられることになっている。
次回、第3回検討会は10月27日(月)環境省会議室において開催される。