年頭挨拶 ー 平成29年 ー
2017年1月23日 公開年頭挨拶
一般社団法人日本温泉協会 会長
文学博士 大山正雄
皆さん明けましておめでとうございます。
今年の干支は酉(とり)です。酉は方角だと西です。訪日外国人数は20年前ですと384万人でしたが、4年前から急増して昨年2千4百万人に達し、更に増加の勢いです。その多くが中国、韓国、東南アジアの人々で、まさに西に注目です。
日本の温泉地の年間宿泊者数は日本総人口に相当する1億2千万人です。日本の温泉は訪日外国人にとっても人気の筆頭です。また、温泉地は主に都市から離れており、地域の経済と雇用の要ともなっています。すなわち温泉関係者は観光立国と地方創生の担い手といえます。
温泉の象徴でもある3本の湯気の立つ日本の温泉マークについて、温泉関係を所管する環境省でなく、経済産業省が国際規格としてマークの中に3人の姿の入った図の方が外国人に分かりやすいと提案しています。日本の温泉マークは群馬県磯部温泉地の万治4年(1661)の絵図に初めて登場し、今日まで350年以上の長きにわたり国民に親しまれ、熱海市や草津町の紋章、国土地理院の地形図、あるいはデザインなどに用いられています。歴史や文化をもち、そして説明すれば一言で容易にわかる記号です。また、全ての記号は説明されて初めて理解するものです。
しかもイタリアやフランスなど外国にも温泉がありますが、それらの国の温泉マークの中に人は描かれていません。従って、外国人に分かりやすいというだけで変える必要があるとは思えません。日本温泉協会はこれまでの日本の温泉マークを支持します。観光立国とは歴史と文化を大切にする国です。
地熱発電の開発計画は68カ所に達し、遂に温泉地の中にも出されてきました。その中で砂湯で有名な鹿児島県指宿市の地熱発電計画は指宿の温泉関係者らの粘り強い反対で中止に至りました。当協会は鹿児島県知事と指宿市長に中 止の要望書を出すとともに、温泉資源の保護と温泉関係者への支援を続けるべく決意を新たにしています。
昨年も熊本で大地震が起き、温泉のみならず観光産業は大きな被害を受けました。日本は治安は安定していますが、若い列島なので大地が必ずしも安定していません。今回行われた被災地への旅の復興割引のような支援は温泉を含めて観光産業に大きな助けとなっています。観光地の復興支援制度について当協会は検討したいと思います。
今年の総会は青森県八甲田山麓の酸ヶ湯温泉で開催します。翌日は八甲田の温泉と自然景観やねぶた祭りの発祥地ともいわれる浅虫温泉などのエクスカーション(見学)を予定しています。会員の皆様の参加をお待ちしています。
最後に、今年も皆様にとりまして実りある素晴らしい年であることを祈願いたします。