日本の温泉文化をユネスコ無形文化遺産登録へ向けた日本温泉協会の取り組み
2020年8月28日 公開また同日出席した群馬県議会議員、協会執行部、鹿児島県指宿温泉代表者が会議を行い協力推進を決議した。
また同日笹本会長、岡村常務副会長、関専務の一行は草津町役場の黒岩信忠町長を表敬訪問しユネスコ登録推進に向けて協力をお願いした。
「日本の温泉文化」をユネスコ無形文化遺産登録へ向けて皆様のご協力をお願いいたします
昭和4年12月4日、日本温泉協会は温泉研究者、鉄道省、内務省などの官庁や温泉関係自治体、温泉事業者の4者が中心となり設立されました。現在は一般社団法人となり、協力企業や団体、一般温泉愛好家の方々も広く会員となって活動しており、昨年創立90周年を迎えました。
当協会は過去温泉法の制定に関する意見書、天然温泉表示看板の制定、温泉枯渇に繋がる恐れのある「無秩序な地熱開発反対」など様々な温泉問題に取り組んでまいりました。
今後温泉が進むべき道として温泉のグローバル利用の推進があります。昨今のコロナ禍で外国人の訪日客は減少しておりますが必ず交流復興の時は来ると思います。そこで外国人に日本文化としてお勧めできるものは何があるでしょうか。「海」、「山」、そして「温泉」です。
温泉が培ってきた日本文化は枚挙にいとまがありません。「旅館建築」、「露天風呂」、「木造り、石造りの浴槽」、「様々な温泉地の食事」、「薬湯としての温泉信仰」などなど。
日本独自の文化として「温泉文化」は欠かせません。温泉自体は世界中にありますが、日本の温泉旅館や温泉街などに薫る「温泉情緒」は日本にしかないと言えるでしょう。
いわゆる「温泉文化」はこのように多様なもので一口に説明できるものではありません。当協会の歴代関係者も長年にわたり調査、研究してまいりました。
協会100周年に向けた事業として表題の「日本の温泉文化をユネスコ無形遺産登録へ」推進協力していこうという決議が、昨年の総会で当協会岡村興太郎常務副会長(群馬県温泉協会会長)から提出され満場一致で可決されました。
群馬県では以前より当協会の中澤敬常務理事が発信されONSENを世界語にして日本の温泉文化を世界に紹介しようと活動されており、草津温泉の時間湯や、法師温泉の歴史的建築、伊香保温泉の石段街、四万温泉の温泉街、また万座温泉の山上の温泉など数多くの情緒豊かな温泉文化が営まれています。
しかし、山間文化の担い手は都会への人口移動で次第に減少し、高齢化、少子化の波にさらわれようとしています。またエネルギー需要の高まりが大規模地熱開発を促進し温泉枯渇の恐れや地震多発、土壌汚染など深刻な環境被害が心配されています。
このような現状の中、日本を訪問してくださる外国人の方々や日本再発見の旅に出られる多くの日本人の方々に改めて日本の温泉文化の良さを伝えるためにも「日本の温泉文化をユネスコ無形文化遺産登録へ」推進していくべきと考えています。
この提案は決して簡単なものではありません。まず温泉文化とは何か、改めてきちんと構築し国内外の方々に理解と支援をお願いしなければなりません、また温泉文化が法的保護の対象となるか、法整備や各自治体での温泉文化保護条例制定運動が必要となります。そして群馬県だけではなく日本各地の温泉関係者の協力が大事です。そして一番大事なのは温泉を愛好してくださる一人一人です。
温泉としては2004年7月紀伊山地の霊場と参詣道の構成資産の一部として「和歌山県の湯の峰温泉のつぼ湯」が世界遺産に登録されていますがそれ以外は日本の温泉文化として登録されたものはありません。「和食」が2013年12月ユネスコ無形文化遺産に登録されました。食と温泉は切っても切れない関係にあります。箱根の黒たまごや各地で行われる温泉蒸し調理、温泉地土産の温泉饅頭や温泉プリン、有馬温泉の炭酸せんべいなど温泉に食はつきものです。和食と共に是非とも日本の温泉文化を登録しようではありませんか。
当協会では昨年来様々な場所で協力をお願いしております。発起人の群馬県では県知事以下群馬県職員、群馬県議の方々が中心となり「温泉文化世界遺産研究会」を立ち上げ、登録推進活動をしています。高崎商科大学の熊倉浩靖教授に顧問をお願いし全国の温泉関係者の皆様の協力を得るべく活動してまいりますので、是非とも皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。
一般社団法人日本温泉協会
専務理事 関 豊